■ユメノアトデ




―――数日後―――


「・・・最近雪風の奴学校来いへんなぁ・・・、
 身体の具合かなり悪いんやろか・・・?」


「まさか・・・あのスポーツ馬鹿が
 風邪こんなに長引くと思うか?」


「いや、風邪やないやろ、
 風邪くらいやったらあいつ来そうやもん」


「まぁ部活もサボり魔らしいし・・・
 物心ついて学校も面倒になったんとちゃうの・・・?」


「・・・あ、前雪風が白石とおるの見たで!」


「フられて落ち込んどるとか?」


「それはないやろ」


「でもなぁ・・・―――」


教室が騒がしいのはいつもの事だけれど、
いつにも増して騒がしくなっている。

原因は、同じ学級の『雪風』という男子生徒が
長期に渡って学校を休んでいる事らしい。


「どないしたんやろなぁ・・・雪風・・・」


「・・・知らんわ、そんなもん」


何や、白石機嫌悪いな・・・?



【廊下】

休み時間に俺は蔵と一緒に廊下を歩いていた。
蔵が図書室に借りたい本があるという事で、
俺は付き添ったのだ。


((―――ドン・・・、―――))


不意に、誰かにぶつかってしまった。
・・・俺が白石の事ばっかり見て
陶酔しとったからなんやけど・・・―――


「お・・・っ、と・・・悪い、ぶつか・・・―――」


「あぁ、こんにちは、謙也さんと白石部長」


「光!?」


ぶつかった相手は光だった。
滅多に三年の階などに足を運ぶ事がない光が
今目の前にいて、少し驚いた。
白石も俺と一緒で少し驚いていたようだ。


「あれ、財前、三年の階に何か用事なん?」


「・・・別に、図書室に返す本あるから持ってきただけですわ。
 ・・・あ、謙也さん達も図書室みたいですね・・・。
 ほなついでにこれ返しといて下さい、俺面倒なんで」


そう言って手渡された本。
英語ばかりの訳の分からん本やった。


「んなもん自分で返しや、
 俺やって面倒やっちゅーねん!」


「・・・あぁ、いいやないですか、
 借りを返すと思って頼まれて下さい」


・・・借り?

俺は、財前に何か借りを作っただろうか・・・?
記憶にはなかった。
首を傾げていると、光が耳元で一言言った。


「・・・白石部長と謙也さんの事、
 俺が雪風先輩に手ぇ回しといたんですから・・・」


「ひかっ・・・お前一体何したん!?
 雪風って・・・最近学校来てへんのやけど・・・!!」


光が、手を回したという。
雪風の長期の休みに何か関連する気がしたので
訊いてみたのだ。


「・・・大丈夫ですよ、怪我させた訳とちゃいますし・・・。
 ただ少し大人しくしてもろてるだけですわ・・・、ほな」


光、何したんやあいつ・・・。
こ憎たらしいだけやなくって、ほんま怖いやっちゃ・・・―――


「謙也・・・、財前を敵に回したらあかんな・・・」


「せやな・・・」


今日も、いつものように、優しい時間が過ぎて行く・・・―――





+END+
何か白石が素直すぎてキャラ崩壊だ・・・。

ここまでお付き合い下さった方、
ありがとうございます!
BacK