■革命の蒼穹■
いくらアルバイトを頑張っていても、
満足できるくらいの生活が出来ている訳ではなかった。
叔母さんが送ってくれる仕送りも
そうそう多い訳ではなくて。
まぁ、叔父さんに秘密で僕達に御金を送っているのだから、
多く送る事はできないのだろう。
送ってくれるだけでも、物凄く支えられている。
「・・・無いのか・・・?」
この子は・・・――もしかして、心が読めるのだろうか・・・?
そんな事まで考えてしまう程、
彼女は僕の心を見抜いていった。
――でも別に、隠す事も無いなと思い、打ち明けた。
「・・・うん。小さい頃に・・・母と父が死にました。
残されたのは僕と双子の兄で・・・――
前までは叔父の家に住まわせてもらっていたのですが・・・
ちょっと、問題があって・・・――」
それから先は、言いたくなかった。
兄さんが虐待を受けていた事を
言う気にはなれなかった・・・――
「・・・そうか・・・。」
彼女が、不意に物凄く悲しそうな眼をした。
思い詰めたような、そんな表情だ。
やっぱり、話さない方が良かったのかな・・・?――
言った後で、僕は後悔した。
「・・・ごめん。」
「何故お前が謝る・・・?
お前が私に謝罪をする理由なんてないだろう・・・?」
彼女は、そう言った・・・――
どうして、そんな悲しい表情をするの・・・?――
どうして、君はそんなに寂しいの・・・?――
――『ワカラナイ』――
「ごめん・・・それじゃあ・・・――」
「お前・・・名は・・・?」
「え・・・?」
そう言って彼女は僕を引き止めた。
名前?何故そんな事を聞くのだろうか・・・?
もう会う事なんて、ないだろうに・・・――
「・・・霞猪・・・――」
そうとだけ言って、僕はその場から逃げるように走って行った。
もうこれ以上、彼女のあの悲しい表情を見てなどいたくない――
それだけだった。
あの綺麗な表情を、壊したくない・・・――
僕は逃げるように家に戻り、制服に着替えた。
〔学校内〕
その日の学校にも行った。
僕達の本業は学生なのだから、休む事は許されない。
例え重い病気にかかっても、
絶対に学校だけには行かなければならない義務がある。
だから、今日もまた登校した。
〔放課後〕
時は早く流れた。
いつもよりも早く感じたのは何故だろうか?
やはり、今朝の少女のせいだろうか?――
((――・・・キーンコーンカーン・・・――))
授業の終わりを鐘が告げる。
放課後、僕は兄さんと共に
授業道具をぼろぼろの鞄に詰め込み、教室を出る。
BacK⇔NexT