■革命の蒼穹<\>■




〔学校門前〕

なんて、色々な事を一人で考えている内に
もう既に学校まで到着してしまっていた。


「キャー!翡翠君と瑞羽さんだわ!!」


何処からか、甲高い女子生徒の声が聞こえる。
いつもの毎日。
そして、彼女達が言う『翡翠』と『瑞羽』は、兄さんと胡蝶の事である。
本当にこの二人の人気は高過ぎて、いつも驚かされてしまう。

「翡翠君!!あのね、一緒に教室まで行かない?」


「瑞羽さん!!今日の家庭科の授業、
 調理実習で同じ班なんです〜!!」


「瑞羽先輩!!研修授業での今日の校歌合唱、頑張って下さいね!」


「翡翠く〜ん!!――」


いつもこんな感じだ。

この二人の人気はいつも分かっているけれど、
流石に慣れる事は出来ない。

いつもこの波に乗せられて、校門前では確実に兄さんとは逸れる。
胡蝶は周囲に流されないのでいつも教室まで一緒に歩くけれど、
その時の周りの視線が物凄く痛くて困ってしまう。


「おい翡翠霞猪、少し付き合ってくんねぇ?」


「え・・・?」


僕の友人の中に、こんな生徒はいただろうか・・・?
どちらかと言えば、兄さんと相性がよさそうなのに。

相手を見てみると、彼らは五人で、
しかも高等部三年の制服を着ている。
つまりは、僕よりも一つ年上の先輩らしい。

しかし、こんな生徒には見に覚えがなかった。
第一に僕は先輩とはあまり話す機会はない。
一度でも話した時があったのならば、
忘れる筈はないのだけれど・・・――

そう思ったけれど、どうやら僕に何か用事があったようだったので、
軽く頷いてみた。


「はい・・・。」


「そうか、へへっ素直な奴だな。」


そんな事を言われ、僕は案内されるがまま彼等についていった。
どうも、何か引っかかるのだけれど。



〔校舎裏〕

ついてきたら、何故かその場所は校舎裏だった。

殆ど誰も来る事のないこの場所に、
何故連れてこられたのだろうか・・・?
分からない、分からないけれど・・・――

何の意図があるのかは分からなかったけれど、
何だか嫌な感じがした。


「おい、やれ。」


「おうよ!」


「え・・・ッ――」


突然後ろにいた二人に両腕の自由を奪われ、
後ろに回された。

「なっ・・・何ですか・・・ッ!!?」


――痛い。

それだけだった。
彼等はその僕の声を無視して、事を進めていく。
後ろに回された両腕の手首を何かで縛られ、
そして今度は目の前が何かで隠され、
暗い闇へ放り出されたような錯覚を起こした。


「い・・・一体・・・――」


口から何も出なくて、
自分が今どんな状況に置かされているのかも全く理解できなかった。
ただ彼等の会話を聞く事しか出来なくて、
彼等がこれから僕に何をするのかなんて全く予想が出来ない。


「っはァー!やっぱこいつやたら綺麗な面してンじゃねぇかよ!」


「だろ?そこら辺の女なんて目じゃねぇよ!!」


「なァ、早く犯っちまおうぜ?」


「誰から?」


「どうせなら一気によォ?」


((――・・・カチャカチャ・・・――))


何か、金属音が聞こえた。
そう思った次の瞬間、今度は僕の腰のベルトを外す音が耳に入った。

「やッ・・・嫌だァぁア・・・ッ!!!!」


口でそう言っても、両手が後ろに回されて塞がっている事と、
足を地面に物凄い力で押し付けられている所為で抵抗が出来ない。


「ふん、騒いでンじゃねぇよ!!」


そんな事を言われて。

僕は視界が全て闇の中である故、
何をされているのか全く分からないけれど、
何となく勘では分かってしまった。

世に言う、強姦って奴。

男の僕に、一体何故こんな事をするのだろうか・・・。
もう本当に嫌で嫌で、涙が零れてきた。

同じ男に犯されるなんて、そんな、そんな事・・・――

頬に妙な感触が擦り付けられるし、
制服を上まで捲り上げられて。

何で、何でこんな・・・――




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